ダークホース 〜リア獣エイブの恋〜

結婚しようという男女とその両親が集まった時に、どの道で来たかとか、どれくらい時間がかかったかとか、とにかく延々と道の話ばかりしている場面があったのでゾッとしました。私は人間と話をするのが苦手なんですけど、その中でも、道の話、天気の話、酒やギャンブルの話など、あたりさわりのない世間話を特に苦手としています。俺はお前らみたいにつまらない世間話なんかをするような人間ではない、という気持ちがあるのかも知れません。最近、隣の席の女と話していて気づいたんですけど、私は人と話をする時に超面白い話をして一気に盛り上げなければならないと思っているようです。でも、すべらない芸人でもないのに一気に盛り上がる超面白い話なんかできるわけがありませんから、ダンマリを決め込んだり、話を途中でやめてしまったりするのです。これでは話になりません。しょうもないと思っている道の話でもなんでもいいから、ひとつひとつコツコツと喋っていって、広げられそうなところは広げてみて、盛り上がるポイントを探しだす作業が必要です。それが結果的には盛り上がりの近道になるのだと思います。『ダークホース 〜リア獣エイブの恋〜』は私のような世間話もまともにできなようなおっさんが、ややこしい女に恋をして死ぬ映画でした。