くまのプーさん

うたた寝から目を覚ますと、背中を丸めてテレビのドラマを見つめている恋人の姿が目に入った。私は恋人といっしょにいるというのに、いつの間にか眠ってしまっていたのだ。何か言って取り繕わなければならないと思った私は、どういうわけか「あ、プーさん…」と呟いてしまっていた。「しまった!間違えた!」と思った時には時すでに遅し。クルッとこちらに振り向いた恋人は、両拳をヒョイヒョイっと振り上げながら、「なんなの!わたしがプーさんみたいにデブだって言いたいんでしょう!」と喚き散らした。私は「違うよ!違うよ!」と言いながら頭をフル回転させて、「映画を見てからずっとプーさんのことばかり考えていたから、自然の流れで口から"プーさん"という言葉が出ちゃっただけだよ!」と苦しい言い訳をしたのだった。恋人は怒りがおさまらないようだったが、ドラマの行方が気になるのか「もー!ぷんぷん!」と言いながら視線をテレビに戻して静かになった。そして、私は「ごめんね〜」と言いながら再び深い眠りに落ちたのだった。