ピラニア3D

恋人と『ピラニア3D』を見るために六本木の映画館に行った。小腹がすいていたので、ポップコーンを食べながら見ることにしたのだが、席につく前から二人で奪い合うようにして食べており、予告編が終わり本編が始まろうとしている時には、あらかた食べつくしてしまった。恋人が両手で抱きかかえるようにして持っているカラッポの容器を見て「うちらピラニアなみの食欲だな」と思った。『ピラニア3D』は水着ギャルなどのバカどもが、バカであるがゆえにピラニアに食われる映画だった。おっさんが「陸にあがれ〜」と言っているのに、水着ギャルなどのバカどもは、「イェーイ!」などと奇声をあげながら、次々に水の中に飛び込んではピラニアに食べられていった。私はバカがピラニアに食べられるたびに腹を抱えて笑った。映画が終わるとすぐに、私は恋人の耳に口を近づけて「ポップコーンすぐなくなっちゃったね。うちらピラニアなみの食欲だったね」と耳打ちした。しかし、恋人は「そうだね」と、そっけない返事をしただけだった。あれ?聞こえなかったのかな?そう思った私は、もういちど恋人の耳に口を近づけて、「うちらピラニアなみの食欲だったね」と耳打ちしたのだった。