蝋人形の館

蝋人形の館 特別版 [DVD]

蝋人形の館 特別版 [DVD]

これは恋人のM子といっしょに見たから楽しかったです。私が絶対の信頼を寄せている『映画秘宝』という雑誌で評価が高かったから手に取ってみたのですが、M子には「パリス・ヒルトンが出てるから面白いんじゃない?」と、あたかも勘を頼りに何気なく手に取ったかのようにして話しました。するとM子は、大きく目を見開いて「え?パリス・ヒルトンが出てるの?!」と言うと、その場でピョンピョン飛び跳ねながら「見たい!見たい!」と叫びました。本当は何を考えているのか解ったもんじゃありませんが、せっかく恋人がかわいい仕草を見せてくれたのですから、私も調子を合わせて「見よう!見よう!」と叫びました。『蝋人形の館』はアメリカの若者たちが不気味な村に迷い込み、蝋人形館で殺される映画でした。私も栃木県の山奥に住んでいるから解るのですが、田舎の住人には都会の理屈など通用しません。迷い込んだ田舎に僅かでも不穏な空気を感じたのであれば、なるべく住人とは接触しないようにして、おとなしく帰ったほうが身のためです。しかし、好奇心旺盛なアメリカ人の若者たちは、休館している蝋人形館の扉をこじ開けて中に入ってしまいました。そして言うまでもなく全員殺されました。私は「黒人は身体能力が高いから活躍するはずだよ」と、M子に得意げに語りましたが、実際には身体能力を生かした活躍どころか死ぬところすら映らなかったので、とても気まずい雰囲気になりました。しかし、M子は機転を利かせて「黒人差別だ!」と叫び、その場の空気を和ませてくれたのです。