里見八犬伝

里見八犬伝 デジタル・リマスター版 [DVD]

里見八犬伝 デジタル・リマスター版 [DVD]

犬を見ると死んだボブのことを思い出します。柴犬という触れ込みで赤ん坊の頃に家にやってきたボブでしたが、成長するにしたがって雑種としか思えない姿になっていきました。しかし、家族がそのことに気づいた頃には、もうすっかり愛着がわいておりましたので、そんなことは誰も気にかけなくなっていました。ボブはたいへんに気性の荒い犬で、知らない人間や動物の気配を感じれば、ギャンギャンと狂ったように吠えたてる性質だったため、ご近所さまに迷惑をかけやしないかと年中ヒヤヒヤさせられていたものです。いつからか毎日午後四時になると、血統書付きの犬を連れた婦人が家の前を通るようになりました。ただ通るだけなら問題はないのですが、婦人は必ず家の前で立ち止まり、大人しく「待て」をしている血統書付きの犬に成り代わって、ボブに話しかけるのでした。婦人に話しかけられている間中、ボブは牙を剥き出しにして狂ったように吠えたてていたものです。「うちのボブはこういった性格なものですから、お宅のワンちゃんに馴れることはないと思います。もしものことがあったら大変ですから、どうか立ち止まらずに通りすぎてやってください」私たち家族は、婦人と顔を合わせるたびに懇願しました。しかし、婦人はニッコリ微笑んで「大丈夫ですよ」と言うと、血統書付きの犬に向かって「仲良くできまちゅよねえ」と語りかけるのが常でした。婦人はただ犬の散歩をしているだけで、我が家に侵入してくるわけではありませんので、それ以上強く言うことはできませんでした。そして、ついにボブは血統書付きの犬に噛みつきました。『里見八犬伝』は薬師丸ひろ子の元に集まったアクションスターたちが、奇抜な衣装を身にまとった妖怪たちを皆殺しにする映画でした。映画とはあまり関係ないのですが、私は薬師丸ひろ子さんの歌声が大好きです。