Surfwise: The Amazing True Odyssey of Poskowitz

私たちは体育会系の上級スキーヤーであるヤスヒコ先輩を先頭に、四時間ぶっ通しで、ただひたすらに斜面を滑り続けていました。私は鍛えているので大丈夫でしたが、普段の鍛え方がたりない同僚たちは、ほとんど肩で息をしているようなありさまで、しかし、ヤスヒコ先輩のてまえ「休憩をしたい」などとはとても言い出せない状況でした。何度目かの滑りの時に、先頭を走るヤスヒコ先輩が、雪の盛り上がった天然のジャンプ台を利用して高く跳びあがり、空中でエビ反りのようなポーズをしてから見事に着地してみせました。そして、後ろにいた私たちの方に振り返り、ぶんぶん腕を振り回しながら「跳べ!跳べ!」と叫んだのです。「キノシタ!来い!」キノシタはヤスヒコ先輩に名前を呼ばれると、「おう」と返事をしながら軽く手を挙げて、そのままジャンプ台に向かって滑り出しました。こうして七人の同僚たちはジャンプ台に果敢に挑戦しました。まれに着地に成功する者もいましたが、ほとんどの者はバランスを崩して転倒していました。最後に残った私は、まだ手を振り回し続けているヤスヒコ先輩の方にチラッと目をやると、意を決して、ゆっくりと慎重に滑り出しました。そして、ジャンプ台に向かって真っすぐに滑り降り、ジャンプ台の目前三メートルの所でサッと進路を変えて、そのままスイーッと滑り降りて行ったのです。『Surfwise: The Amazing True Odyssey of Poskowitz』は、サーフィンだけやって生きていきたいおっさんと、その家族たちについてのドキュメンタリー映画でした。おっさんがサーフィンだけやって生きていきたいのなら好きにすればいいと思いますが、子供たちにまでサーフィンなんていう危ないことをさせてはいけないと思いました。