ザ・ライト エクソシストの真実

ザ・ライト エクソシストの真実 Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

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「じゃあなに?知ってるんでしょ?だったら答えられるよね?」永遠に続くかと思われた女のおしゃべりが唐突に打ち切られたと思ったら、女はまるで悪霊がとりついたかのような恐ろしい表情で、私を睨みつけて言った。私はこの女が何を言っているのかサッパリ解らなかった。ただ、キチガイみたいに怒っているということだけは解った。「え?なにって?」私はバカのふりをして間抜けな返事をした。バカのふりをしてやれば、相手は「なるほどこいつはピュアなのだな」と察して、怒っている自分がバカみたいに感じてくれるはずなのだが、この女にバカは通用しなかった。「とぼけないでくれる?あなたが知ってるって言うから聞いてるんじゃない!わたしの話を聞いてなかったんでしょう!てきとうに返事してたんでしょう!バカじゃないの!ギャー!」どうやら女はなんとかいうレストランの話をしているようだった。おおかた女の喋りの中になんとかいうレストランの名前が出てきた時に、私が「ああ、あれね」とか「知ってる知ってる」とか言ってしまったのだろう。私にとってはほんの些細なことだが、女にとってはキチガイみたいに怒らなければならないくらい重要なことだったのだ。私は泣きそうな顔を作ると「僕はバカだから、そういうのが解らないんだよ。ごめんね」と言った。すると女は、その場にうずくまって「おなか痛い…」と言い出した。「大丈夫?いったん電車を降りた方がいいよ」次の駅で電車が止まって扉が開くと、女はスクッと立ち上がってピューってどっか走ってった。『ザ・ライト エクソシストの真実』はエクソシストが悪魔祓いをする映画でした。悪魔にとりつかれた女は、あの時、私を責め立てた女にそっくりだったので、私は恐ろしくてたまりませんでした。